伝統のある本校の金管バンドの活動がスタートしました。用務主事さんが、子供たちが気持ちよく学習ができるように校舎内や校庭の清掃をしたり、給食調理員さんが温かくておいしい給食の準備をしたりしている時間に、金管バンド部員の爽やかな挨拶の声が響き渡っています。私は東京メトロ東西線の早稲田駅から徒歩で通勤してくるのですが、早大通りの歩道あたりから、私の姿を見つけると会釈しながら挨拶をしてくれます。朝から嬉しくなり、「おはよう!ありがとう!」と思わず言葉を付け足してしまいます。
よくある日常生活の1ページのように見えますが、コロナ禍3年目となった現代では、コミュニケーションの機会や場面が制限され、対人関係やバランス感覚を養う時間が少なくなり、関わりを保つために大切な他者意識や、主体的に生きていこうとするための自己有用感が身に付きづらくなりがちです。世の中では、周囲の人たちに自分から挨拶しようとする子供が減っているそうです。
「鶴巻小学校の子供たちは皆、気持ちのよい挨拶ができますね。」と地域の皆様から温かいお言葉を多くいただいていますが、金管バンドの活動にも、その秘密が隠されているようです。金管バンドでは、自分が扱う楽器について、手入れ・消毒・運搬を自分の責任下において行います。物を大切に扱う習慣は、自分の身の回りの人に対し、相手の立場になって考える力が身に付くそうです。個人で楽器パートを練習し、さらに1つの楽曲を作り上げるために、様々な楽器の個性を生かし、協調しながら完成を目指す。我慢強く取り組み、壁を乗り越えて完成させた経験は、「やり抜く力」を形成する自己有用感につながります。そのような背景から、爽快な挨拶という行動が見られるのではないでしょうか。
コロナ禍ですが、ようやく再開できたこの活動を大切に続けていきたいと思います。ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。