新年あけましておめでとうございます。新型コロナウイルスへの対応はまだまだ続いていますが、今年も、感染状況に応じてできるだけの教育活動を計画し、子どもたちの豊かな成長につなげていきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、学習指導要領の中に、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力など」「学びに向かう力・人間性など」という3つの資質・能力が示されています。この資質・能力は、幼稚園から高等学校までを通した教育の中で培うとあります。この内「学びに向かう力・人間性など」について、小学校ではこれまでの「関心・意欲・態度」に加えて、「試行錯誤する力」や「粘り強く取り組む力」、「協力して学ぶ力」などを大切にしています。このことは、「非認知的能力」の重要性を踏まえて提案したものと考えています。
アメリカの学者による経済学の研究に、子どものときにどのような教育をすると効果があるか長年にわたって検証しているものがあります。教育を受けられない子どもたちに、言葉や計算などの「認知的能力」と忍耐力・協調性・意欲など「非認知的能力」の教育を行ったところ、「非認知的能力」を身に付けた子どもたちは、大人になったときにより豊かな生活を送ることができるようになったとのことでした。この研究には賛否あるようですが、「非認知的能力」の重要性を見出した研究だと思っています。
忍耐力・協調性・意欲などは、学習指導要領の「学びに向かう力・人間性など」と共通点が多いと感じます。幼いときにこの力を身に付けると、我慢強く、友達とうまく関わりながら、自主的に学ぶようになり、これをベースに読み・書き・計算などの力を身に付けていくことはとても効果が上がるようです。反対に、忍耐力・協調性・意欲を十分にもたないまま学習に臨むことは、子どもにとってつらい状況だと思います。また、先ほどのアメリカの論文は経済学の研究のため、どの学齢の子どもに国が予算をかけることが有効なのかを調べたものでした。答えは3・4・5歳との結果でしたので、幼児教育の大切さも改めて感じますが、小学校や中学校でも「非認知的能力」を高めることは重要だと思います。
そこで、小学校では、「認知的能力」と共に「関心・意欲・態度」「粘り強く取り組む力」「試行錯誤する力」「協力して学ぶ力」などの「非認知的能力」を高めることを意図的に進めています。例えば、自らの疑問を解決していく形で進める学習や相手意識・目的意識をもって取り組む活動、運動会や音楽会など一人ではとてもできないことを仲間とつくり上げていくこともその一つです。ご家庭や地域でもそのような場面や姿が見られたときには、とても大切な力を育んでいるところなので、応援していただけるとありがたいです。