いよいよ子どもたちが楽しみにしている夏休みが近づいてきました。夏休みの思い出は様々ありますが、今回は夏休みの子どもたちの課題の定番「自由研究」について考えてみようと思います。
「テーマはどうしようか・・・」と苦悩する我が子の姿に重ね合わせて、自分の子ども時代を思い起こす保護者の方もいるかもしれません。この自由研究には、いったいどのような教育的な意味があり、取り組むことで、どのような力が得られるのでしょうか。時代を遡ると、かつて「自由研究」は、教科の一つとして定められていました。戦後の教育改革が図られた1947(昭和22)年の学習指導要領で、子どもの自発的な活動を促すため、教科の発展学習などを行う時間として設置されたのです。しかし4年足らずで自由研究は発展的に解消されました。
時は下って、2000(平成12)年から段階的に始まった「総合的な学習の時間」は、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てることをねらいとしており、地域社会や環境をはじめ、身近な問題をテーマとして、子どもたちが主体的に学ぶスタイルで進めていきます。この学習活動ではコミュニケーションカ、課題解決力や論理的思考力、創造力など多様な力を身に付けることを目標としていて、自由研究のねらいと共通する部分があります。ただ、総合的な学習の時間は教員の指導があり、グループ活動が多く展開されますが、自由研究は保護者の方のサポートはあるものの、基本的には一人で学び進めます。自由な時間が多く取れる夏休みに自分が興味をもっていることをテーマに定め、じっくりと調べたり、観察したり、ものづくりをしたりする自由研究は、総合的な学習の時間を活かし、不測の事態が起こり得る現代社会を生き抜く上で大切とされている、主体的に活動しようとする力の育成が期待できると言えます。
テーマ作りのポイントですが、子ども自身の興味・関心に直結することを選ぶことが大切です。先日見たテレビでは、ダンゴムシには壁にぶつかるたびに左右交互に方向を変える習性(交替性転向反応というそうです。)があることを紹介していて、それを自作の迷路で証明していた小学生がいました。ちなみに私は小学5年の時に地域の児童館で毎月開催していたメンコ大会で優勝したかったため、「メンコ必勝大作戦」というテーマで取り組みました。メンコが引っくり返る仕組みを知ることから始まり、メンコの持ち方・腕の振り方・メンコの落とし方(位置や角度)・メンコの選び方など、何回も投げて記録を取り、分析しまとめました。結果は準優勝でしたが、不思議と悔しさはなく、まだ何か気付いていない工夫があるかもしれないという気持ちがふつふつと湧いてきたことを記憶しています。知りたかったことが試行錯誤しながら分かった時の喜びは格別ですし、やり遂げた達成感は自信につながります。2学期の廊下展示が楽しみです。