2月に入り、今年度もまとめの時期に入ってきました。子どもたちも一年を通じてできるようになったことや、引き続き努力が必要なところも明らかになったと思います。ご家庭ではお子さんの成長についてどのように話したり、接したりされていますか。
私たち大人は子どもが何度も同じ失敗を繰り返すと、つい強い口調で責めたり、正論で詰めたりしやすいものです。ただ正論ばかりで返してしまうと子どもは逃げ場がなくなってつらくなってしまったり、子どもの気持ちを見失いやすくなったりします。大人はどんな時に正論を言ってしまいやすいのかを理解し、状況に応じて対応を変えていくことが必要です。しかしながら時間に余裕がなく忙しくしているときは話を早く終わらせようと正論で片付けやすくなることが多いです。一方で子どもの教育は矛盾だらけの子どもの気持ちを上手にくみ取りながら関わっていくことが大切で、正しさや論理、根拠を述べるのは後にして今どう感じているのか、何がつまずきとなっているのかにも目を向けていくことが大切です。子どもが泣きじゃくっている状況の時は、気持ちがうまく伝えられなくてどうしていいかわからず、時には周囲に対し攻撃的な言動で自分を防衛してしまいます。そんな時に正論で対応しようとしても、「全然わかってもらえない」という思いでいっぱいになっていることが多いです。「泣いても意味ないよ」と否定するのではなく、「泣きたくなるくらいつらいのはわかった」と、まずは共感することが心の扉を開けてくれる第一歩です。
なぜ正論よりまず共感が大切なのでしょう。大人同士で物事を効率的に進める中では、一つ一つ感情に向き合っていくよりも合理的な筋道を重視した方がよいでしょう。しかし、子どもに対しては、「共感」というステップを踏み感情を整理することで徐々に合理的な考え方を身に付けていくことが、様々な研究から明らかになっています。テストでケアレスミスをしてしまった時に「だから見直しをしなさいといつも言っているでしょう」と返されてしまうと「わかっているけどそれができないから失敗したのに」と感情が整理されず取り残されてしまいます。ここで共感が入って感情が整理されると問題を解決しようとする思考につながります。当然、相手の心や体が傷つく恐れがあるときは、どんな理由があっても絶対にいけないと、正しさを伝えることも必要です。
子どもの成長の機会を奪わないよう、正論をグッと抑え、気持ちを整理した上で話し合う時間を作っていきたいと思います。